ドイツ

 中盤の支配力に優れたチームがあえてボールを渡すことで、相手チームはボールをつないで前に運ぶことすら困難になり、良い場所でボールを奪ってカウンターを決めて点を取ることが出来る。ドイツやブラジルはこれで勝ち進んできた。これへの対策としては、ポゼッションを放棄するのが一番早い。リスクを侵さずあまり攻めない、というのが基本だ。これをやれば弱者でも引き分けたり勝ちを拾ったりする可能性もある。

 スペインはドイツよりも中盤の支配力が優れていた。良い場所でボールを取ることが困難で、スペインはリスクを侵さずともボールを回すことが出来た。これへの対策としてはゴール前をガチガチに固めて相手の消耗を誘うというのがあるが、ガチガチに固めてなおスペインの攻撃は危険で、カウンターに最低限必要な2枚のオフェンスすらなかなか捻出できず、守備に余裕を持たせたままボールを回していたスペインに疲れは見えなかった。だがドイツの守備も固く、結局点を奪ったのは後半28分のコーナーキックだった。その少し前からスペインはポゼッションを諦め相手にボールを渡すようになっていたので、それなりに消耗していたのだと思う。ポゼッションを諦めることでカウンターが封じられたにしても、ドイツが身長を活かして攻撃すれば点数が入っていた可能性も高い。

 どっちに転ぶか分からない勝負ではあったが、結局実力に優れた勝つべきチームが勝った、ということだろう。スペインは今までずっと決定力が不足していたが、ポゼッションはもともとあまり点が取れない戦術だ。カウンター側はカウンター用のオフェンスが中盤の争いにあまり加わらない分攻撃力が高く、イングランド、アルゼンチンから4得点して快勝、みたいなことも出来る。ポゼッションはボールの支配に汲々とするためなかなか点が入らない。だが何にせよ、中盤の支配力に優れたチームのほうが勝つ可能性は高い。