サティ

 サティは作曲家人生の最初期に、なんか変な宗教にはまっている時に、ジムノペディとグノシェンヌを作った。おそらく偶然に。そしてその後、それを越えるどころかそれに迫るどころかその段階に近いような曲は一つも作れなかった。よく聞くと味わい深いような曲はたくさん作ったけど、否応なく聞く人を戦慄させるような巨大な何かを持った曲は作れなかった。よく聞くと味わい深いような曲を作ったのは、ジムノペディやグノシェンヌから逃げていたからではないかと思う。才能は突然失われる。実力以上の仕事をなし、それが虚仮であることを暴かれないために、自分が過去より劣っていることを認めないために書いたんじゃないかと思う。