パンツ

 パンツは一時的にフジテレビの主役にまで躍り出た。彼のミスター書き込みとしての実力は疑う余地はないのだが、世間に衝撃を与え生活を一変させるような結果には辿りつけなかったように思う。テレビにはまだその力があるはずなのだが。その力を失ったテレビはもはやテレビじゃない。

 俺なら出来たかと夢想するのだが、そういう者にならんとする欲や意思が摩滅してしまっているので、なかなか難しかったんじゃないかと思う。少し前までは、そういうものになりたいという意思のみで人格の全てが構成されているような人間だったので、出来ていたような気もするし、出来なければ自己嫌悪で死んでしまっていたかもしれない。

 俺は数回チャンスを得たのだが、特に何にも生かせなかった。まあいいんだ。俺が勝負すべき場所はそこじゃないはずだ。喜ばしいことに、世にあるゲームは3次元の袋小路に迷い込み、ソフトウェアとしては一歩も進んじゃいない。

 しかしもしそれがはてなブックマークでなくフジテレビであったなら、身命を賭す価値を感じ全力を傾けられただろうけれど。