リトルバスターズ

 ネタバレまくり。

 一通りイベントをこなした後、現実に出る。しかし、現実で失敗して死亡エンドになると、「だからいっただろ」的なことを言った後恭介が再度リセットをかけてくれる。

 つまり現実に戻ったように見えて、実は恭介が作った世界の中だった。

 その世界で一旦生存エンドを迎えるも、仲間を助けることは出来なかった。理樹は想像の中の恭介に決意表明する。「ナルコレプシーを克服する」「もっと強くなってみんなを助ける」

 その願いに答えて、もう一度リセットがかかる。これもまた現実ではなかった。

 次の世界ではナルコレプシーに陥ることもなく手際よくみんなを助けていく。自らを自殺に追い込んで世界の基準点を変えたはずの恭介すら簡単に救いだす。

 恭介は死んでいなかった。しかし基準点は変わっていた。単に恭介が「そのような世界(自殺したことにして、基準点を変えたことにしたが、実は死んでいなかった世界)」を作って理樹に見せていただけだと解釈するのが妥当だろう。

 つまり全員生存エンドすら現実ではない。おそらく、臨死体験した皆の意識を纏め上げ、魂が「響きあう」ことで作られる幻想世界の状況を、より良い方向に導いていっただけだろう。「理樹が現実において全員を救出した」と魂を共有する皆に信じさせることにより、それを前提とした新たな幻想世界を作り出した。それが恭介の真の狙いであり、そのために「過酷に遭遇」し「成長」して「救われる」という一般受けしやすい安直なストーリーを練り上げ、実行した。鈴を田舎へと導き、追い詰め、過去のトラウマを突きつけて精神を崩壊させ、さらに自分を理樹になぞらえて生きる希望を失ったフリもした。

 鈴を精神崩壊させ、自身も傷ついて生きる希望を失うなどという失策を知性にあふれ世界を支配する能力を持つ恭介が犯すはずがないのだ。「リトルバスターズを理樹が再度作り上げる」というストーリーを忠実に実行させるために、世界状況をいつものように都合よく改変した、それだけのことだ。

 そしてリトルバスターズは再結成され、あまりにも安直に全員が救われ、全員が幸福になった世界が現出した。もちろんそれは現実ではない。何も解決しないまま、幸福な夢を見続けて、いつか来る終わりを待ち続けているだけだ。見ている夢はもう少しマシなものにはなっただろうけれど。